トップ >母乳のいろは > おっぱいはどうやってわくのでしょう?
おっぱいは赤ちゃんが吸うたびに分泌されます
「おっぱいを出す」「おっぱいが足りない」とよく言いますが、私たちのおっぱいはタンクではないので、最初から量が決まってません。「おっぱいは吸われるからわく」のです。そして、たいていの赤ちゃんは生まれてすぐからからグイグイと吸い付くことはなく、私たちのおっぱいもすぐにどんどん沸いてくるのではありません。数日から1週間、赤ちゃんが吸っても吸ってもなかなか沸いてこないことも多いこと、それでも吸わせ続けることが大事だと知っておくだけで違うでしょう。
赤ちゃんがおっぱいを吸うとそれが刺激になって、脳下垂体というところから2つのホルモンが出ます。1つは母乳そのものを作る働きをする「プロラクチン」です。プロラクチンは赤ちゃんがおっぱいを吸い始めてから30分くらいでピークの量になります。そして1時間半くらいかかって、普通のレベルに戻ります。1時間半から2時間おきに赤ちゃんにおっぱいを吸わせれば、「プロラクチン」が出続けることになり、母乳の出がよくなります。また、赤ちゃんが母乳を消化するのにかかる時間は1時間半くらいです。ですから母乳は1時間半から2時間おきにあげるのが最適なのです。育児書によく「3時間おきに授乳を」とありますが、それはミルクを与えた時の授乳時間で母乳には当てはまりません。
夜の授乳はつらく感じる人も多いですが、「プロラクチン」は赤ちゃんが昼間におっぱいを吸った場合よりも、1.5倍多く出ます。夜も授乳をすることでおっぱいをどんどん作り出す体になります。
夜のおっぱいは大事です
夜も昼も赤ちゃんが欲しがったらおっぱい・・・を繰り返すことで、それぞれの母と子のリズムができていきます。飲んでいる時間や回数、量をはかって管理された授乳指導を産院で受けた人の中には、窮屈でつらく感じる人もいるでしょう。はからずに、時計を見ないで赤ちゃん自身に授乳のリズムをまかせてみると、リラックスして授乳できるでしょう。お腹の中でも赤ちゃんたちはそうした自らの力で育ってきたのですから、同じように与えてみましょう。赤ちゃんは1ヶ月ごとに成長し、授乳のリズムもだんだんに楽になっていきます。そうして他のたくさんのおっぱいママさんと出会うと、おっぱい育児にルール、決まり事はないとわかってきます。
赤ちゃんがお母さんの回復を助けるのです
もう1つ、赤ちゃんがおっぱいを吸うことでわくホルモン「オキシトシン」があります。オキシトシンは乳腺のまわりの小さな筋肉を収縮させる働きをし、赤ちゃんが吸いやすいように、一緒におっぱいを飲むお手伝いをしています。それから子宮を収縮させる働きをします。出産後すぐから、何度も授乳をしているだけで、自然な子宮収縮の役目をしてくれます。こうして、赤ちゃんはお母さんの産後の体の回復を助けてくれます。
おっぱいが出ない人もいるのでは?
本当に母乳が出ない人というの は2万人に1人くらいだと言われています。それは、思春期の乳腺の発達に問題がある場合だそうです。妊娠中にも1ミリも乳房が大きくならないそうです。
ではどうして、「母乳が出ない人もいる」と言われるのでしょうか?
それは、産後、おっぱいがわき出すまでの時期に産院スタッフや周りの女性によって適切なサポートとケアがなかったからです。特に出産直後の母と子の体がどういう状態かを知り、それに沿った授乳サポートを産院でされたら、おっぱいで育てることが気持ちの上でもっと楽になるでしょう。
「おっぱいが出ないのでは?」という心配はしないで、お母さんと赤ちゃんの出産後の自然な授乳のリズムを大切にしてくれる産院で出産すれば、おっぱい育児も軌道に乗りやすくなります。
- 参考図書:
- 1. 日本母乳の会編「新 母乳育児Q&A」
- 2. あおばおっぱい会「あなたのおっぱいライフ応援します!」
- 3. お産情報をまとめる会編「わたしのお産 1999-2000年版」